| 第5回:貸す方が悪い?借りる方が悪い? |
まず初めに、当事務所は自己破産手続きや、民事再生手続きを代行する業務は行っておりません。こういう事態を事前に防ぐための契約書作りのお手伝いや、会社運営へのコンサルティング業務は行っていますが、当事務所にこれら自己破産・民事再生手続きのご依頼をされる方には司法書士や弁護士のご紹介をさせて頂くようにしております。
さてさて、不況とお金を借りるという事への抵抗感の低下からか、多重債務者問題や、闇金融問題、破産問題などが世をにぎわせています。この手の問題で私が疑問に思うのは安易な貸し付けが原因だから貸す業者の方が悪いと言う意見と、よく考えずに借りて安易に自己破産するのはモラルハザードを招いてしまうため問題である意見が対立していることです。
もちろん闇金融のように脅迫などをもちいる行為はもちろん違法行為であるし、倫理的にも問題なんですが、普通の業者がお金を貸し出して、それをある期間借り、元本と利子を取り戻すという行為自体は何らおかしいことではなく、日本が資本主義である以上、金融によってお金の需要があるところと、供給があるところを結びつけて、よりスムーズなお金の流れを作るというのはむしろ、社会全体にとっては必要な行為だともいえます。(なんせ大学のゼミが金融だったということもあり、金融行為自体への批判はおかしいと思ってしまうのです)よって貸し出す業者が悪いは言えない。
次に借りて自己破産するのが悪い、もしくは借りたものを返さないのは悪いという風潮について。確かに返すあてもないのに借りるというのはあれっ?て感じですが、だからといって自己破産などをしてしまうと、ある期間お金が借りられなくなってしまい、金融という便利なシステムから排除されてしまうというリスクを負います。借りたものを返さないというのは、借り手が無償で借りていたら倫理的に問題だと思いますが、利子を業者が取っている以上、借り手が返さないというリスクは当然業として貸し出しを行っている以上織り込み済みであるはずで、それについて倫理的に借りた金は必ず返さねばならないという風に借り手を責めるというのはおかしいと思うのです。
また業者が貸してくれる以上、それが利子を後から付け足して元本を返さないといけないことがわかっていて、そのときは借りたお金の価値が利子分を上回るなら当然借りることによってその人の満足度は借りなかったときより利子分を差し引いても上がるわけですから、合理的な人間としてはむしろ当然の行為であり、これを責めるというのもおかしく感じるのです。
この二つの考え方が対立するのは、この両方の意見が貸し手・借り手のことを倫理的にだめだからだめ、というところにその立場の大本をおいているからではないかと感じます。むしろ、この資金の金融制度をもっとドライに考え、単なるゲームとして考えればこの不毛な議論から抜け出せることができるのではないでしょうか。貸し手というプレイヤーと借り手というプレイヤーが、借り手の個人情報と貸し出し決定権いう武器と、自己破産や民事再生という武器を手にとって、金融というリングの上で、法律にレフリーを頼み戦い合う。お互い相手の武器はわかっているのですから、反則をやらない限りなんら相手に対し卑怯なことをしているわけではありません。このリングでは、相手の個人情報から、貸し出ししないと言う戦略をとるのも自由だし、お金を返すことができないから自己破産するというのもまた単なる戦略。自己破産してリングから一時退場するか、このまま戦い続けるかは借り手の戦略の自由なのです。
こういう風に考えたら、お金を借りて返せないからといって自殺したりする不幸な事例が減るような気がしてなりません。
近頃やたらと自己破産自己破産と、返せなくなったらすぐに自己破産をして免責をとるのが常識になっているようですが、民事再生や、任意整理など、借り手側の武器は自己破産に限られたものではありません。それこそ返せない=即自己破産・免責と考えず、借り手の持っている金融というリングで戦うためのいろんな武器のことをもう一度確認することをおすすめします。
金返せないからお詫びに死ぬなんていうぐらい意味のないことはないです。貸した方にとっても寝付きが悪いですし。ドライに図太く生きましょう。