TOP>コラム

本サイトの利用規約

第41回:婚約破棄されて苦しむ人をなくすための一私案

なにせ婚約破棄の慰謝料請求を事務所の主業務に掲げているものですから、婚約破棄の相談について毎日のように何件も受けております。
で、そもそも婚約などするから婚約破棄の問題が生まれるわけであり、婚約さえしなければ破棄でこれほどまでも苦しまなくても済むのになあ、とか思ってしまったりするわけです。つまり婚約破棄を防ぐ最上の方法はそもそも婚約をしないことである、と思うわけです。
なにをあふぉなことをいってるんだ、そんなん当たり前だろう、という方がほとんどでしょうが、私は結構まじめに考えてこういう結論を出したわけで理由もあります。

この私の結論が、離婚しないためには結婚しないことだ、的な意見とはちょっと違うと言うことをわかってもらうためにはまず、そもそも婚約とは何か、ということを考えねばなりません。これは法的には将来的に婚姻しようという約束、つまり婚姻の予約契約です。
で、この婚姻とは民法上は戸籍法に従って婚姻届を出したら成立って事で、一般の方は婚姻=結婚と思われていると思います。
内縁などの問題を考えると婚姻届を出していない事実上の結婚、という形もありますがこれを考えると問題が複雑化し過ぎるのでおいておき、ここでは婚姻届を出す=結婚、ということで話を進めますと、婚約破棄が起こる原因というのは二人が結婚をしようと同意してから(この時点で婚約成立です)、実際に婚姻届を出すまでにタイムラグがあるために存在するわけです。

ここで皆さんに考えて頂きたいんですが、結婚をしようと2人が同意してから、婚姻届を出すまでに期間を空ける必要性はなにかあるでしょうか?そりゃまあ、婚姻届書いてから役所に行くまでの時間がかかるではないか、なんつうことを言い出したらそりゃそうですが、それはやむにやまれず空間的な事情から意思とは関係なく時間がかかるのであって、ここでいうところの自分たちの意思で期間を空けているわけではないんです。
期間をあける必要性、わかりました?

実は一つあります。それは婚姻届を出すまでにもしも気が変わったらやっぱり結婚はやめておこうという意思が発生する可能性がある場合、つまり婚約破棄を少なくともいくらかは行う可能性のある人のみにこれは必要な期間です。ということは、確実に結婚する二人にはまったくもって必要ない期間であり、結婚しようと思った瞬間に婚姻届を出してしまえば、婚約破棄の問題など生まれようがないというわけです。ここで勘違いして欲しくないのは、婚約期間という名の同意と届けのタイムラグを作る人たちが、全員元々破棄をしてやろうと思って婚約しているんだと私が思っているわけではありません。むしろほとんどの人は慣習としてなんとなく婚約期間を設けているのではないでしょうか?
特に慰謝料請求を考える人は、まさか自分が婚約破棄の当事者になるなんてこれっぽっちも思ってなかったからこそ、ショックによる精神的損害が生まれて慰謝料請求を考えるわけですから、よもや婚約自体が婚約破棄を生ずる根本原因だとは気づいていなかったでしょう。

でも結婚しても離婚があるじゃないかと思った人、それはノンノン。婚約の場合、一方が破棄するといってしまえば、法的にその慰謝料の問題などは生まれますが、結婚それ自体を法的に強制することはできません。つまり、破棄しようと思う側の一方的な思いつき、もしくは何の理由もなくても婚約破棄が可能なのです。

しかしいったん婚姻届を出してしてしまえば、一方が離婚するといっても、もう一方がそれを拒否し続ければ最終的には裁判にまでなってしまいます。しかも裁判して結果離婚をしたいと思っている人が負ければ離婚はできません。

婚約破棄をする方の主な理由は単に気が変わった、という破棄される側にとってはどう考えても納得できない理由です。実際の所は相手に他に好きな人ができたということをオブラートに包んで、というか全然包みきれずにバレバレなのに気が変わったからとかいっている人もかなり多いのですが、どちらにしても、婚姻届さえ出してしまっていればこのような不条理な理由で一方的に別れなければならなくなるということはかなりの程度防げます。

また、なぜか日本では結婚式を行った後や新婚旅行に行った後、婚姻届を役所に出しに行くということが良く行われますが、私が思う限りこれは非常に不合理です。当たり前のことですが、結婚式などしなくとも日本の民法では婚姻届さえ出せば結婚したことになるのですから結婚式を先にする必要性はありませんし、新婚旅行に至っては、そもそも広辞苑第五版をひもときますと、新婚旅行=新婚の夫婦がともにする旅行、のことであり、新婚=結婚したてであることとされている以上、そもそも上記定義の結婚をしてないのに旅行をしてもそれは新婚旅行じゃなくて、婚前旅行です。

なぜこの2つの例を出したかといいますと、婚約破棄の問題の場合、たとえば結婚式場の予約をしていたり、新婚旅行の予約をしていたりなんかすると、そのキャンセル料の問題がいつもつきまとうからです。当然、正当な理由もなく破棄された方は、破棄した方に請求するわけですが、破棄した側が逆ギレすることも結構あります。

結局、そんな逆ギレするような人と結婚せずに済むだけ婚約期間を設けるには意味があるのではないか、とあなたは思うかもしれませんが、それは第三者的立場の人からの意見であり、相手の勝手な理由により破棄されたことによって自殺未遂までしてしまった人たちにとっては何の意味もありません。こういう方は破棄されてもなお相手と結婚したいという方も多数います。
当然相手が悪くてこちらから破棄を申し出る、ということもありますが、このコラムの主題は婚約破棄をされないための方法ですので、これはちょっと問題が違います。

というわけでこれらのことからして結婚の約束という重要なことはプロポーズをして相手が返事した瞬間婚姻届を出しに行くぐらいの気持ちが必要でしょうし、実際に出してしまったら婚約破棄は防げます。また、それぐらいしてもなんの後悔もないぐらい相手をよく見てからでないと結婚の約束などすべきではないと思います。
そして結婚式や新婚旅行は出した後に行くようにしましょう。本当に結婚する気があるのなら、順序を変えるぐらい何の問題もないはずです。婚約は結婚することが目的であり結婚式や新婚旅行をするために結婚するわけではないのですから。

これからはプロポーズする方もされそうな方も、懐に婚姻届をしのばせていたらいいかもしれません。まさに備えあれば憂いなし。また、これを相手に見せた時の反応によって相手がどれだけ本気かもわかるかと思います。

なお、ほとんど面識がない女性にいきなり結婚を前提に付き合ってください、と告白した某後輩のように、いくらなんでも付き合ってないのにプロポーズのようなことをすると即座に断れることは目に見えているのですから、この点は十分にご注意を。
h.16.7.24


Google