債務者主義と債権者主義 危険負担の問題

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危険負担の問題とは

もし、大地震が5月28日に起きて消滅し、契約日の6月1日にはすでに家がない場合は、家を引き渡すことが契約時点で不可能(つまり引き渡し債務を履行すること不可能ですので原始的不能とよばれ、契約自体が無効となります。よって代金支払債務も無効になり、代金を支払う必要はありません。これは危険負担の問題ではありません。

原始的不能=支払義務無し
→時間の流れ→
大地震により家が消滅
5月28日
契約日
6月1日
引渡し・代金支払日
6月20日


次に6月1日に契約した後、6月3日に売主が家を家庭内プロレス会場として利用することによって家を滅失させてしまった場合、これは売主に責任があるため、損害賠償や契約解除といった債務不履行の問題であり、これも危険負担の問題ではありません。

債務不履行=危険負担の問題ではない
→時間の流れ→
契約日
6月1日
家庭内プロレス決行により家が壊れるどころか滅失
6月3日
引渡し・代金支払日
6月20日


家を買う契約(売買契約)が6月1日に成立し、その内容が6月20日に家の引渡しと同時に代金を支払うとの内容であり、6月3日に家が大地震で崩壊してしまった場合、大地震は売主・買主ともに責任はないため、家の買主は家の代金を支払う義務があるのかどうか、これは危険負担の問題です。

危険負担の問題
→時間の流れ→
契約成立日
6月1日
大地震により家が消滅
6月3日
引渡し・代金支払
6月20日

この場合において家が消滅したで6月20日に支払うはずだった代金を支払わなくて良いとするなら損するのは売主ですので債務者主義といい
家が消滅してしまったにもかかわらず6月20日に代金を買主が支払わなければならないなら、損するのは買主ですので債権者主義といいます。

つまりどちらが危険(損)を負担するかで債権者主義・債務者主義と分かれるわけです。

得られないので支払義務無し→債務者主義
得られないのに支払義務あり→債権者主義

なお危険負担とは双務契約において一方の債務が両者の責任ではない理由によって消滅した場合にもう一方の債務も消滅するか否かという問題になります。

債務者主義が適用される場合と債権者主義が適用される場合

債権者主義が適用されるのは「特定物」・または不特定物であっても民法第401条第2項の規定によって其物が特定された時に関する物権の設定または移転に関する双務契約の目的となる場合で危険負担の問題となる場合です。

債務者主義が適用されるのは危険負担の問題となる場合で、債権者主義がとられない場合、特定物の場合でも二重譲渡と他人物売買の場合です。

債権者主義適用 危険負担の問題における特定物か民法第401条第2項により不特定物が特定された時についての物権の設定または移転に関する双務契約
債務者主義適用 危険負担の問題における債権者主義の適用範囲外と、特定物の二重譲渡と他人物売買

債務者主義と債権者主義の効果

債務者主義 両者とも自分の履行のすべてを行わなくて良い。どちらかがすでに履行していた場合はそれを返還。
債権者主義 完全に滅失した場合は債務が消滅し、一部が壊れたような場合(毀損)はそれをそれを給付すれば履行となるが、もう一方(つまり債権者側)はすべてを履行する義務あり。

停止条件つき双務契約の目的物が成否未定の間に滅失OR毀損した場合における危険負担の問題

停止条件つき双務契約の目的物が条件の成否が決まらないうちに滅失した時は債務者主義、毀損した場合は債権者主義。
目的物が債務者の責めに帰すべき理由によって毀損した場合、債権者は条件が成就した場合はその選択により契約の履行or契約の解除ができる。どちらにしても損害があれば損害賠償の請求ができる。

契約の成立 免許を取る前に 結論
Aが自動車免許を取れたら、Bは所有している自動車をAに売り渡す契約が成立 宇宙人の襲撃により自動車滅失 債務者主義によりBはAが免許をとっても代金請求できず
宇宙人の襲撃により自動車がちょこっと壊れる 債権者主義によりBは代金請求ができる
空手家であるBは自分の実力をはかるために自動車で試し割をし、見事自動車半壊 Aは免許を取ったら車をBから売ってもらうか、契約解除するかを選択でき、どちらにしても損害賠償可能。

債権者の責任により債務者の履行が不能になった場合

債権者の責任により債務者の履行が不能になった場合、債務者は債権者からの給付を受け取る権利があるが、不能になったことによって得た利益があるときは債権者に償還。