第一回:事務所の怪

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いきなりこんなことから書き出すと頭おかしいんじゃないのと思われるかもしれませんが、私には昔から何らかの霊がついているようであります。それを意識しだしたのは大学の寮生活時代のことでして、私は大学4年間山口大学の吉田寮というところで寮生活を行っておりました。そこで私は2回生の時から一人部屋(一年の時は2人で一つの部屋でした。同部屋だったS籐君生きてるか〜?)だったのですが、その寮の自室で怪奇現象が起こるようになり始めたのです。その現象に最初に気づいたのは一人でテレビを見ているときでした。確か歌番組を見ていたときだと思いますが、壁が急にどんどん鳴り出したのです。そのときテレビを結構大きな音量にしていたため隣の部屋の住人が抗議のために壁をたたいたのだと思っていました。それで音を小さくしたのですが、それでもドンドンと音は鳴り続きます。そこでテレビを消してみたのですが、それでもドンドンと音は鳴り続き、いい加減腹の立ってきた私は部屋を出、隣の部屋に怒鳴り込みました。
「壁、たたき過ぎじゃ!」
しかし、私に怒鳴り込まれた隣の住人は私の剣幕にびっくりして
「えっ・・・。たたいてませんが。」
と小声で答えました。隣の住人は新一年生で怒鳴り込んできた私に少しおびえており、その様子からも本当に壁をたたいていたのは彼らではなさそうでした。
彼らの様子を見た私はもしかしたら、ネズミか何かかもしれないと思い、その場は自室に帰ったのです。しかし、それからというもの、私が自室でギターを弾いたりテレビを見たりベッドに入って寝始めると、壁がドンドン鳴る現象が起こり始めました。最初は隣の住人が実はウソをついていたずらでドンドンたたいているのではないかと思っており、ドンドン音の鳴っている壁に耳を当てて聴いてみると、どうも人がたたいているというより、壁自体がドンドン鳴っているようなのです。しかし、私も21世紀科学の子、そんなことで心霊現象と決めつけるには行きません。このドンドンなる現象を究明することになりました。

まず、この音の第一容疑者は各部屋に備え付けられたスチーム管。冬になると鉄のパイプを伝わって蒸気を流し暖房の役目をするものなのですが、暖房であるがため当然現象が起こりだした夏には使われておりません。このスチーム管は寮中に配備されているためどこかの部屋がこの管をたたいたことによってその音が私の部屋にも伝わってきたとの仮説を立てました。しかし、この仮説は怪奇音が鳴っているときにスチーム管に耳を当てても全く音は伝わっていないことでいきなり崩れ去りました。

次にネズミが走っている説。しかし、この怪奇音はネズミの音にしてはあまりに大きすぎ。この怪奇音は人間が壁を思いっきり拳で殴っているような音量なのです。

最後に部屋の共鳴説。寮の部屋はアパートのような作りになっており、どの部屋も同じような間取りなので、他の部屋の音がたまたま共鳴してなったのかと。しかしこれもドンドン鳴っている最中に各部屋の前に言って聞き耳を立ててみたのですがどの部屋も壁を殴っているような音は聞こえてきませんでした。(なんせあまりに大きな音なのでドアを挟んで廊下に立って聴いてみても余裕で聞こえるほどです。)

すべての仮説が崩れ去ってしまった時、私は言いしれぬ恐怖に襲われました。この部屋は何かにとりつかれているんではないかと。調べている最中も調べ終わった後もその怪奇音は鳴り続け、一時期ノイローゼになりそうでした。
しかし、そんな怪奇音も毎日毎日鳴り続け、聴かされ続けていたら単なる工事の騒音ぐらいのことにしか感じなくなり、いつしか音が鳴っていても安眠できるほどになれてしまいました。

私が音になれだした頃にはこの怪奇音はすっかり有名になり、(なんせ私の部屋の真下に住む住人が、私がいないときに、私の部屋があまりにドンドンなるものだから私が床を金槌でたたいていると勘違いしたことがあったり、これまた私が寝ているときに私の部屋の前を通りかかった後輩が私の部屋があまりにドンドン鳴っているので、そのころ流行っていたダンスのゲームを夜中にしていると勘違いしたほどでして)私の部屋は第三者も認める怪奇スポットとなったのです。
結局私が卒業する頃にはその怪奇音はならなくなったのですが、この怪奇音が私の事務所でまた鳴るようになったのです。といっても今回は前のようにドンドンという音ではなく、キッチンでビニールをすりあわせるような音。この音が夜な夜な鳴っておりまして、例のごとく、キッチンにはその音を発生するようなビニールはおろか何もおいてない始末。場所は違えど音はするということで、私自身に何か憑いているのではと思う日々であります。まあしかし、うるさいと言うだけで実害はないので、何もせずにそのままで平和に暮らしております。
なんとなくこういう風に書くと私は肝っ玉が据わっているような男に読めるかもしれませんが、実際はかなりのびびりです。ホラー映画は常に道連れをつけるのですが私のあまりの叫びように同伴者は私の叫びの方にびっくりするほどで、身長180センチOVERの男が叫ぶ姿はまさに圧巻!

私と同じように心霊現象に悩んでいる方がいらっしゃったらその方にアドバイス。それは心霊現象は自分が気にしなければ実害なし!ということです。それよりもよっぽど現実に生きている人たちの方が怖いです。心理的な恐怖につけ込んで、金を搾り取ろうとする悪徳霊感商法の人が跋扈してします。確かに宗教の自由は大事ですが、人を詐欺、または不必要な恐怖に陥れてお金をせしめようとする業者は法の規制が必要でしょう。世の流れは規制緩和ですが、それでも規制が必要なものもあります。規制緩和は世の中全体の利益が向上するものに対してするべきであって、闇雲にすべての規制を撤廃しては理念自体が埋もれてしまいます。このあたり重要だと思うのですが。(これをお読みになった霊感商法系の皆様、ここで書きましたように実害がないのでお払いなどのセールスは固くお断りさせて頂きます。念のため。)
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